「ドラッカーを理解できる、キーワードとポイント」:05「予期せぬ成功」
第4弾:技術編「テクノロジストの条件」の中に
「予期せぬ成功」
の事が書いて有る。
普通?は、
「失敗は成功の母」
とか、良く言われている。
これは、
「成功するには、失敗を沢山しないとだめなんだ」
みたいに、考えられているからだ。
しかし、ドラッカーは、違った。
「イノベーションの機会として捉えると」
「大事にするのは、予期せぬ成功と予期せぬ失敗」
と言っている。
「予期せぬ成功」の解説は以下の所だ。
— 内容 —————————-
・予期せぬこと
まず、最も単純かつ容易なイノベーショ
ンの機会として予期せぬ成功がある。
大恐慌時の1930年代はじめ、IBM
がコンピュータを売り込もうとした金融界
には金がなかった。
創立者トマス・ワトソン・シニアによれ
ば、そのとき救ってくれたものが予期せぬ
成功だった。
最初にニューヨークの公立図書館が買っ
てくれた。
ニューディール時代でもあった当時、金
は銀行ではなく図書館にあった。
ワトソンは各地の図書館に当時の高価な
コンピュータを100台売った。
その15年後、ごく普通の企業が、給与
計算用としてコンピュータに関心を示した。
当時最先端のコンピュータを開発してい
たユニバックは、そのような使い方に拒絶
反応を示した。
ところがIBMはこの予期せぬ成功に日
をつけ、コンピュータを給与計算用に設計
しなおした。
そして5年を経ずしてコンピュータ産業
の雄となり、それ以降、その地位を確保す
ることになった。
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「予期せぬ失敗」の解説は以下の所だ。
— 内容 —————————-
予期せぬ失敗も、イノベーションの機会
として同じように重要である。
フォードのエドセルは、自動車産業の歴
史において新車開発の最大の失敗として知
られる。
ところがエドセルの失敗が、やがてフォ
ードの成功の基礎となったことについては
あまり知られていない。
フォードは正面切ってGMと戦うために
エドセルを開発した。
企画、調査、設計の綿密さにもかかわら
ず開発が無惨な失敗に終わったとき、同社
は、あらゆる自動車メーカーがそれまで設
計とマーケティングの前提としてきたもの
に反する何かが市場に起こったに違いない
と考えた。
市場は所得階層ではなく、ライフスタイ
ルによって細分化されるようになっていた。
この変化に対しフォードがとった行動が、
ムスタングとサンダーバードの開発だった。
同社はふたたび自動車市場において、個
性的なリーダーとしての地位を得た。
予期せぬ成功と失敗は、イノベーション
の機会として実り豊かである。
なぜなら、競争相手が相手にせず、無視
し、敵視さえしてくれるからである。
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このように「今まで巷で言われていた常識」
と違う事を主張している。
しかし、最近の「ベンチャー企業の常識」は
ドラッカーの言うほうに近い。
最近の「ベンチャー企業の常識」は
「成功事例に学べ」
だ。
「ブログ等」が最たる例だ。
「こんなことを言っている人がいる」
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賢者は愚者(失敗事例)からも学び、
愚者は賢者(成功事例)からも学べない。
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ぜひ、「技術に関わる人」は勿論、
「技術に関わらない人」も、
「ドラッカーの世界観・未来感」と
今後起こるであろう
「ドラッカーの予測?」を
見て頂きたいものだ。