満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:61 読めても書けない字 「2007年75歳」
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:61 読めても書けない字 「2007年75歳」
85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
61 読めても書けない字 「2007年75歳」
介護相談員として、施設を訪問している。
仕事が済むとリポートを書く。
ところで、この頃読めても書けないという漢字がよくある。
あまりにも易しい文字をひらがなで書くのも。。。と自信のないままリポートを出していたが、「前回のリポートで二つも間違っていた」といわれ恥ずかしい思いをしてしまった。
そこで、小型の用字便覧を持参した。
早速、病名の”かいせん”を書くことになって、便覧を引いてみると「疥癬」とある。
これこそ読めてもかけない字だと思った。
と、そこへ、私が便覧を持っているのを見かけた施設の利用者さんが「この紙に『ねつぞう』と書いてほしい」と。
もちろんふたつ返事で大きく書いてさしあげた。
今日は便覧が大うけだった、と気をよくして帰宅し、そこにあった夕刊を取り上げて驚いた。
見出しに大きく「捏造」と書いてある。
私が昼間、得意げに書いた字と違う。
私のは、手偏に「口」と「土」。
新聞は「日」と土」だ。
えっ、新聞が違うのか、それとも便覧が間違っていたのか。
眼鏡をかけて便覧を見直すと、新聞と同じ「日」と土」。
ところが、眼鏡を外すと「口」になるのだ。
大変だ、謝らなくっちゃ。
すぐに電話して訂正をお願いした。
偶然とはいえ、即刻、間違いに気づかせてもらえたのは、ありがたいことだった。
86歳の母親が書く、満州引揚者の半生「縁と運」・概略。2013/8/1 初版。朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。本の題名は、読者がこの本に出会であろう「縁」と、読んでみようとページを開いてくれる「運」から命名した。林恭子は書くことが好きで、小学校での「つづり方(作文)」は1番の成績だった。戦後、14歳で旧満州から引き揚げ、16歳で結婚した。
47歳の冬に朝日新聞の読者投稿欄「ひととき」に、初投稿で採用された。
この話は、「『読めても書けない字』が有った」 の話です。