満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:37 ツバメのお宿は失格に「1998年65歳」
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:37 ツバメのお宿は失格に「1998年65歳」
[ad#rec_la]85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
37 ツバメのお宿は失格に「1998年65歳」
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店のテントにつるしてある札には「今年は”つばめの宿”失格です」と書いてあります。
毎年、ツバメが巣作りをするのに、今年はどうしたわけか気に入らなかったようです。
四月のはじめ、一組のツバメがテントの内に入ってきたときは感動し「よく、ここがわかったわね」と私は「やってきた燕たちはナビゲーター」と一句詠んだほどです。
ところがその後、たまに古い巣をのぞきに来るだけで、ちっとも落ち着きません。
最近になって、近くの駅舎の巣などから、子ツバメがえさねだる声が盛んに聞こえてきます。
5年ほど続いた「つばめの宿」ですが、残念ながら今年はお休みです。
子ツバメたちの成長を記録する「つばめの宿帳」を楽しみにしてくださるお客さまも、風にゆらめく「失格」の札を見て「あら、今年はいないの」と声をかけてくださいます。
今年、初めて目にしたときすると一段と大きくなり、美しくつややかな黒い羽根で街を飛び交う姿を見つめながら、「ツバメたちもいろいろ考えているのだろうな」と、自分を納得させているのが、少し寂しいこのごろです。
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