満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:32 伊の国旗買い、ローマで手品「1993年61歳」
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:32 伊の国旗買い、ローマで手品「1993年61歳」
85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
32 伊の国旗買い、ローマで手品「1993年61歳」
私の住む安城市に、「いろはショー」という、ボランティアサークルがあって、歌と踊りとマジックショーで、主に老人ホームの慰問をしています。
私もその一員でマジックを担当しています。
今年一月、縁あって大勢の人たちとヨーロッパを訪れました。
旅の終わりはローマで最後の夜はパーティーもあるようなので、皆さんに楽しんでいただこうと、マジックの用意をしました。
ところがここまで来て悩んだのは、手品の一つに、6か国の旗を使うのがあるのですが、ご当地イタリアの旗がない。
準備する時、そこまで気がつかなかったのです。
会場には、イタリアの人たちもいるし、いっそ、この出し物はやめようかと思ったとき、華やかな布がつるしてある店が目にとまり、もしかして、と尋ねてみるとありました。
早速買い求めてついでに、日本で言う「バンザイ」に当てはまるイタリア語を教えてもらいました。
パーティーが進行し私の出番になりました。
イタリアの旗は大きくて、隠すのが大変でしたが、マジックショーの締めくくりは「フォールツォ・イタリー」と言って、緑、白、赤の旗をパッと広げました。
ひときわ高い拍手の音が、いまも耳に残っています。