満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:04 車に乗って30年
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:04 車に乗って30年「1981年49歳」
85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
04 車に乗って30年「1981年49歳」
30年前の自動車運転免許の受験風景は、のんびりとしたものだった。
試験官が丘の上で旗を振ると、アツキ、クロガネ、ダイハツ、マツダと、どれでも好きな三輪車にまたがって、ダッダーとまわる。
「うまくやった!!」と思っているのに、ペケだというので、うちのだんなさんは「前の人と、違ってやせんかなあ」と疑わしい顔。
私は紅一点だから間違わけないと、先生に聞きにいったら、違うコースを走ったそうだ。
道理でたやすくまわれたと思った。
初めて買った三輪車は、中古だったので、いくら足で踏んでもエンジンが、かからない。
それで、エイッと点火位置をあげると、そのせいで逆反転したペダルで踵(かかと)が割れ血が吹き出し、すごく痛かったこともありました。
あこがれの四輪車になったとき、限定解除の実地試験。
伊勢湾台風の直後で、試験場のコースは水びたし。
その日も雨だったので、一緒に行ったおじさんが「きょうは試験がありますか」と問い合わせたら「雨が降ったら運転できないような者はやめろ」と、どなられたとか。
そのおじさんと、同じ日に合格して、二人でバンザイして喜んだ。
あれから30年、先日の文化の日に、優良運転者の県警表彰をいただいた。
違反をしないのは本人の心掛け次第だが、事故に遭わないなんて、この頃の世の中では奇跡みたいなもので、これは、神さまのお守り以外のなにものでもないと思う。
だから私は、いつも神に感謝して、ハンドルを持つことにしている。
もしその心に背いて、よそごとを考えたりすると、たちまちバチが当って事故を起こしそうで、いつも気をつけて運転をしている。