満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:12 わが店はホチキス追放「1985年52歳」
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:12 わが店はホチキス追放「1985年52歳」
85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
12 わが店はホチキス追放「1985年52歳」
私は、今まで自分の店で、袋の口はなるべくテープで留めて、ホチキスは使わないようにしていました
それは、ホチキスでとめると、中身がなんとなく安物に見えるような気がするのです。
菓子袋でなくても、例えば郵便物でもホチキスどめは、そう重要なものではないだろうと思い、テープどめなら「なんだろう」と早速開封、のり付けならなおさらのこと胸をときめかせるのです。
もうひとつには、針がしっかり曲がっていないと、指に刺さって痛いのではないかと、パチン、とやったあと、更にたたいたりします。
でも、そんなことをすると、かえって袋を開けたとき、たいてい紙の方が破れて、針はブラブラ。
もし畳にでも落ちると、危ないと思います。
そこで先日の「天声人語」のホチキスの話しに、我が意を得たり。
針も、ホチキスの後ろについているヘラではずしていたのです。
そうすると、きまって針は飛び散るので、気になっていましたから、飯沢匡さんの、古いシャープペンシルを使ってやるのは、良いアイデアだと思います。
ところで、ホチキスが人の名前とは知りませんでした。
このお陰で、作業が能率的になった分野もあるでしょう。
しかし、便利な道具でも、やはり使い道があって、私のお店ではやめておこう、と決めました。
私の独りよがりで、主人や他の人まで面倒をかけて悪いかなと思いながら、店内に置いてあるホチキスを集めて、引き出しの奥にしまいました。
ここまで添削済。