満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:40 ツバメのお宿、巣立ちを観察「1999年67歳」
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:40 ツバメのお宿、巣立ちを観察「1999年67歳」
85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
40 ツバメのお宿、巣立ちを観察「1999年67歳」
ツバメのひなは、ふ化してから 21日目に巣立つ、というのは本当です。
図鑑の解説や昔からの言い伝え通り、5羽が次々に巣立ちました。
今年も、店先の巣に、最初の卵を確認してから、親が巣を離れたすきに梯子をかけ、手鏡を使って観察を始めました。
1日に一個ずつ、計 5個の卵を産みました。
1日の大半を、お母さんツバメが抱卵し、ちょっと巣をはなれるときは、お父さんツバメが留守番をします。
ある朝、店を開けたら、半分に割れた卵の殻が落ちていました。
軒先を借りた宿主に、子供が生まれたことを知らせるのだと、聞いていたので、感動しました。
その日から、日付を記した厚紙をそばに置きました。
1日 1羽ずつふ化して、ひなの頭が、ぴょこぴょこ見えるようになると、その下に厚紙を敷き「ツバメのトイレ」を作りました。
別の厚紙には、観察記録も書きます。
店先を通る人たちも、このツバメの宿帳の記録を読んでは、巣を見上げて、ひなの成長を楽しんでいる様子でした。
6月29日、5羽が巣立ちました。
本当に、かっきり 21日目のスダチです。
昨年は、最後の1羽は栄養が足りなかったのか、巣立つことができなかったのに、今年は全部無事に飛んで行きました。
空になった巣を、少し寂しい気持ちで見上げています。