満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:28 ツバメの宿、3年ぶり「1991年59歳」
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:28 ツバメの宿、3年ぶり「1991年59歳」
[ad#rec_la]85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
28 ツバメの宿、3年ぶり「1991年59歳」
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「あっ、ツバメ!」
あのひらりと返る飛び方はツバメだ。
しかも二羽。
もうつがいなんだは、うちへくるのかな、と思いましたが、自信がありませんでした。
なぜかというと、3年前には巣をかけてくれたのに、次の年、そして昨年と、もう続けて2回もフラれているからです。
だからその2、3日後に、よその店に盛んに出入りしているのを見て、また今年もだめか、とがっかりしました。
ところが、それからしばらくして、いつも1羽だけでうちの店の近くの電線に止まっていたツバメが、相手を見つけたらしく二羽でうちの店のテントの中に舞い込んできました。
私が掛けておいた板に、巣づくりの決心をするのに4、5日かかりましたが、ようやくを土を運んでくるようになり、ツバメの宿復活と、うれしくなりました。
3年前は、ツバメは鳴かないのかしら、と思うほど寡黙でしたが、今年はよくさえずるおしゃべり夫婦で、なんでも相談してやっているようです。
一方が土の団子を運んで来て、石垣を積むように互い違いに置いていくと、もう一方がワラのようなものをくわえてきて、所どころに編み込んでいくという共同作業は、ほんとに感心するほど。
時折よそのツバメがのぞきに来ると、うちのオスツバメはすごい勢いで追い払い、すぐに戻ってきて、盛んにメスにしゃべりまくる。
「アイツナンカニキヲトラレルナヨナ!」とか言ってるみたいに――。
3年前に記録した「ツバメの宿帳」を読み返してみると、巣作りを終わり、ワラ敷もすむと、初めて2羽で夜泊まり、それ以後は、いつも1羽が巣についているようになり、約2週間後にふ化する。
数えてみると五月半ばごろがその時期。
さて、今年はいくつひなの顔が見られるでしょうか。
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