満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:19 ご老人慰問の手品修業「1987年55歳」
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:19 ご老人慰問の手品修業「1987年55歳」
85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
19 ご老人慰問の手品修業「1987年55歳」
今、私は9月15日の敬老会で披露する手品の練習に一生懸命です。
敬老の日、小学校の体育館に集まったお年寄りに、手品を見ていただくようになってから 5年目です
「コップつり」や細かく切った「新聞の復活」など、少しでも腕前が上がるようにと、練習に励むのですが、なにせ講習は月一回、あとは各自で修業ですから容易ではありません。
ここに2,3年は、敬老会だけでなく、老人ホームの慰問などにも出向くようになりました。
マジッククラブの会員が交替で3,4人ずつ訪問します。
昨年からは、もっとにぎやかになりました。
それは、私たちの町に、歌と踊りでホームの慰問をしているグループがあって、その人たちと合体したからです。
お年寄りで合わせて昔懐かしい歌と踊り、そして少し新しい曲も加えマジックショーをはさんでの1時間半です。
畳を敷いた老人ホームの集会場が舞台ですから、テレビで見るような大仕掛けではありませんが、それでも花かざりのレイをかけてもらうと、ちょっといい気分になります。
そのレイも、演技がすんでさがってくると、急いではずされて、廊下をまわり、客席にリレーされて、また、次の出演者に捧げるといったあんばいです。
舞台が終わって、ホームの所長さんから、「面会に来る身内もほとんどいないこの人たち。あんなに面白そうに笑う顔はめったに見られない。きょうはよかった」と礼を言ってもらうと、こちらもじーんとして「また来ますから、元気でね」と、手を振って別れてきます。
あちらこちらから招かれているのですが、隔月興行なので、なかなか回りきれません。
でもこんなに感激すること、ぜひ続けてやらせてもらいたいと思っています。