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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:64 秋の夜の昔話 「2007年75歳」

2018/05/06
 
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:64 秋の夜の昔話 「2007年75歳」

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85歳の母親が書く、満州引揚者の半生

・母親が出版した「縁と運」の概略

 (2013/8/1 初版)

 朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。

 本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。

・この本の問い合わせ

絶版につき受付終了

この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。

連絡先(090・6613・4068)へ。

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64 秋の夜の昔話 「2007年75歳」

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秋雨の降る夜、夫と昔の話になった。

敗戦の翌年、14歳の私は家族と旧満州から引き揚げ、農家ばかり約100戸の村に住みついた。

週一回の配給日には、小さな袋をいくつか持って農協に行き、お米何日分、小麦粉は何日分、トウモロコシの粉に干したサツマイモと、全部足しても1か月分に満たない食糧を受け取った。

「足りない分は、食べないでいろということか」と。

そんなぐちの暮らしの我が家へ、農家の息子が「嫁入りの支度はいらん」と宣言し、身ひとつで、初潮から1年目、16歳になった私と結婚、父の家の跡継ぎになってくれた。

私の初産は、17歳だった。

「あのころ、私はやせっぽちだったのに、おっぱいはよう出たね」といえば、「ああ、やせてる方が乳はよう出るだ。豚でもそうだ」と夫。

「ほんとう?太っている豚はだめなの?」

「どうして?脂がのっちゃうから?」

「そうだぞ、人間も豚も同じだ」

「ふうん」

そういえば、赤ん坊が下痢したとき「消し炭を飲ましてやれ、豚でもすぐ治るから」と言われた。

私は、また豚と一緒にする、と怒ったっけ。

あれからもう60年。

ようやくここまでやってきたなあと、いつになくしんみりと話した。

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