満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:22 わが家にツバメのお宿「1988年56歳」
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満州引揚者:林 恭子:『縁と運」:22 わが家にツバメのお宿「1988年56歳」
85歳の母親が書く、満州引揚者の半生
・母親が出版した「縁と運」の概略
(2013/8/1 初版)
朝日新聞の読者投稿欄の「ひととき」と「声」に投稿し、掲載された70編を「縁と運」と題して出版した。
本には、林恭子の生き方や思いが人生の縮図として描かれている。
・この本の問い合わせ
絶版につき受付終了
この本に関しては、私、林 宏(息子)に問い合わせて頂きたい。
連絡先(090・6613・4068)へ。
22 わが家にツバメのお宿「1988年56歳」
ふと見上げると、ツバメが二羽、店先の日よけテントの中へ舞いこんできました。
いかにも相談するように、チチッとさえずり合いながら、あたりを見回していたかと思うと、さっと飛んで行って、なかなか戻ってきません。
実は去年も飛んできて、物色していたのですが、見切りをつけて行ってしまったのです。
今年は住み付いてくれるといいな、と思い、「ほら、音楽も鳴って胎教にいいよ」などと話しかけ、気に入ってくることを願っています。
2、3日してようやく決めたのか、土を運んでくるようになりました。
それでもまだ、あちこちに、点々とこすりつけているので、フンを落とすでいかんなあ、と言ってた主人も「もっと効率よくやらんか」などと声をかけるようになりました。
雨あがりは急ピッチに巣作りができるのです。
「きっと泥がいっぱいあるのよね」と店の人たちと話したことです。
人の出入りも気にせず、シャッターの音にも動ぜず、人間とともに暮らす鳥なのだなあ、と思います。
入口の軒先なので、1日中、仕事ぶりを観察することができます。
この頃のツバメは、巣作りも新建材でやる、という話しを聞きましたが、うちのツバメは藁を加えてきて、上手にやっています。
昨日、店の定休日で1日中留守にし、今朝見ると、もうほとん出来上っている感じでした。
4月26日から数えて12日目。
最初のころは 30分も40分も帰ってこないで、遊び半分みたいな様子でしたが、きょうの夕方などは、口いっぱいに土をくわえてすぐに帰ってくるという熱心さです。
卵を抱く時が迫っているのかもしれません。
ひな鳥の顔がいくつ寝られるかと楽しみです。